ばったり。路上で彼に出会う。
私のロボットの挨拶が早かった。
彼のロボットが挨拶を返す。
“承認完了”のシグナル・ランプが淡い緑色に輝く。
そこでようやく、本人同士が、微笑み合う。
「久し振り。元気?」
「わー。吃驚した。」
マイ・ロボットを連れた二人は、その場で別れる。
良い天気。
通りを行く人々は皆、ロボットを連れている。
犬までが連れている、訳では無く、お散歩モードだった。
赤いマフラーを首に巻いたロボットを見かける。幼馴染のロボットだ。当然、本人もいる。
赤いマフラーは“現在、設定をリセット中”のサインだ。
だから、挨拶しないで、すれ違う。勿論、向こうもそれで怒ったりしない。
礼儀作法とは、そう言うものだからだ。
* The End *
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