「ほ~ら、捕まえて御覧。」
「言ったな。待てえ!」
かくて。紀元前のアッピア街道に於いて、ルージュ家とブラン家の追いかけっこは始まったのである。
これが決着がさっさと着けば、両家の歴史は此処で終わった事であろう。
しかし。
ル「私は、ガリアで、布教を果たしましたぞ。」
ブ「甘い。私は北欧で、美髪王を口説き落としました。」
ル「産業革命で儲けたぞ!」
ブ「新大陸に行くから、金寄越せ!」
現在。
「良いか。」
顔見知りの研究員が、機外からブランの顔を覗き込んだ。
「タイム・チェイサーの機能を信じろ。」
「必ず、ルージュを現代に連れ戻すよ。」
“永遠に続く追いかけっこか。”
タイム・マシンの稼動開始する中で、ブランは独りごちた。
* The End *
PR