旅客機が窓から見える。ひっきりなしに離発着を繰り返す。
幾つもあるテーブルからは、温かい湯気が立ち昇る。コーヒーの匂い。
やがて、
男「待ったかい?」
女「呆れた。いつまで十代の積もりでいるの。」
男「いい腕時計だね。誰に買ってもらったの?」
女「初給料で買ったのよ。」
男「道が混んでいてね。」
女「空の?」
男「エア・ポケットと燃料補給の組み合わせさ。」
女「何のことよ、もう。・・・・はい。」
男「チョコレート?!」
女「そうよ。今日は、2月14日ですもの。」
男「有難う。でも、一年ぶりに会って、チョコレート一個?!」
女「ええ。一年ぶりね。私たち。用件は済んだわ。それじゃ。今日のデートはおしまい(TheEnd)。」
男「いや。」
女「え?!」
男の手が、女の手に、そっと優しく重なる。
男「TheEnd(終わり)じゃない。・・・・始まり(Begining)だ。」
また一機。タクシーウェイの上を、ボーイングが滑走して行く。
* The End *
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