深夜25時。
あなたは、疲れ切ってあなたの部屋、あなたのTVの前に座っている。
賑やかなトーク=ショーが行われている。
明るい人柄が人気のパーソナリティーが、軽妙に受け答えをしながら、出席者を笑わせている。
元気だなあ。こっちは、連日連夜の仕事でくたくたなのに。
あなたは思う。食事を終えて、もう今夜は眠るだけなのに、床ものべてあるのに、まだ眠りたくない。
スクリーンの前で、ついうとうと。
そうすると気持ち良くなって、だんだん、何が行われているのか、今は何のコーナーなのか、気にならなくなって行く。
若い、女子大生のようなパーソナリティーが大袈裟に目を丸くする。
「じゃあ、今日は照り焼き=ハンバーグをコンビニで買って夕食にしたんですね。」
えー、と、観客席から声が鳴り渡る。
おやおや、何だか、何処かで聞いたような奴がいるぞ。まるで、自分みたいだ。あなたは、思う。
「ええ、そうなんですよ。」
男性司会者は、さも困ったものだと言う様に、首をかしげ、眉を上げてみせる。・・・お茶の間の奥様方に大うけなのだと本人も知っている仕草だ。
「その前に、高校の同窓会の事で、村松さんにMailを入れています。」
タイミング良く、言葉尻を捉えて、女性パーソナリティーが言った。
「内容は、”会費は振込みで良いか?^^;返事くれby私”ですね。」
瞬時に背中に走った、寒気は言葉では表現し尽くせない。
何から何までそれは、
・・・・・あなたのこと。
愕然と目を覚ましたあなたの目の前のTVは、早、放送時間も終わった、砂嵐の表示。
深夜の番組には、御注意を。
* The End *
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